【ご家族を亡くされた方向け】死亡事故で必要な手続と賠償の問題点

死亡事故は大変な手続きが多く、個人で進めるのは負担が大きい

家族を失った心痛の最中、葬儀をはじめとして故人の身辺整理など行わなければならない手続が少なくありません。事故の場合は警察や検察庁からも事情聴取があり、保険会社からも準備する書類の要求があります。
個人の負担が大きいため、専門家のサポートを求めることを推奨します。

ー 目次 ー

相続人の調査が必要に。損害賠償請求権の相続が発生する。

亡くなられた方の損害賠償請求権は、相続人の方が取得することになります。
そのため、賠償請求をする前提として、相続人の確定という手続が必要です。
確認するためには、事故で亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍、相続人の方の現在戸籍などを全て調査しなければなりません。
戸籍は、転籍を繰り返されている方は、各市町村の戸籍謄本を取得して辿っていかなければなりません。
まずは亡くなられた方の最後の戸籍がおかれている市町村の窓口で、相続調査していることを説明して、原戸籍から現在までの戸籍を取得したいとお願いすれば、その市町村が保有している戸籍は出してもらえます。
その上でその戸籍を読み取って、どこの市町村から転籍している確認するとともに、養子縁組などしていないか記載をチェックします。
最終的には相続人となる方が現在生存していることの戸籍をもって、相続人の確定作業が終了します。
被害者(亡くなられた方)の損害賠償請求権は、原則として相続分にしたがって各相続人が取得します。もっとも、遺産分割協議でこれと異なる合意をすることもできます。
そのため、加害者に対する損害賠償請求を誰がどのような形で行うかは、相続人間で調整をすることもあります。
なお、亡くなられた方の損害賠償請求権とは別に、近親者にも固有の慰謝料請求権が発生します。これは相続分に関係のない請求権で、遺産分割の対象にもなりません。

死亡事故の特殊な損害として、葬儀費用や死亡逸失利益がある

(1)葬儀費用
 葬儀費用については相当な範囲で認められます。すべての葬儀費用が認められるわけではありません。
 裁判例の傾向からは150万円程度が目安となります。
 150万円を下回る場合は、実際に支出した金額が限度となることが多いようです。
 そのため、葬儀に要した領収証等は項目を明らかにしなから保管する必要があります。

(2)死亡逸失利益
 死亡逸失利益とは、亡くなられた方が、事故にあわなければ得られたであろう収入についての補償です。
 死亡により、生涯で得られるはずの収入(利益)を逸失したという考え方となります。
 この損害項目は大黒柱を失ったご家族にとって今後生活していくための貴重な補償になります。
 具体的には、次のような計算式で損害を計算していきます。
 
 亡くなられた方の年収×(1-生活費控除率)×就労可能年数のライプニッツ係数

 といった計算式で計算されます。

 生活費控除は、故人が生存していれば生じた経費を損害から控除するという考え方です。
 一概には言えませんが、参考までに故人が独身男性の場合は50%、一家の支柱で被扶養者が1名の場合は40%、2名以上の時は30%、女性の場合は30%程度を控除するケースがあります。
 就労可能年数は原則として67歳までと考えられています。そのため、40歳の方が亡くなられた場合、27年分が就労可能年数として計算対象となります。
 また、死亡時に67歳を超えている方の場合、最大で平均余命の2分の1を就労可能年数として死亡逸失利益を請求できるケースがあります。

残されたご家族にとって正当な補償が必要です。

死亡慰謝料の相場

被害者の方の死亡慰謝料は様々な事情を総合的に考慮して決定されます。
そのため、一概にこの金額になるというものではありませんが、裁判を経た場合は次のような傾向にあります。

一家の支柱  2800万円
母親、配偶者 2500万円
その他    2000万円~2500万円


これらは死亡慰謝料の総額であり、遺族固有の慰謝料も含めた金額になります。

死亡事故では専門家のサポートは必須です

不幸にも事故で家族を失われた方の心中を察するに余りあるものがあります。
相手方と示談の話をすることでさえ、家族を失った心痛から、耐えられないものがあるかと思います。
もっとも、現実的には賠償の話し合いの中で、相手方が過失を争ってくるケースもあります。
死亡事故のケースでは、多くの場合、加害者は起訴されて刑事裁判となるため刑事記録を謄写することができます。
この資料を精査し、生々しい事故現場の状況などを確認するのは精神的負担が少なくありません。
ご家族の方にも仕事や日常生活もあり、亡くなられた方にとってもご家族に多大な精神的な負担をかけるのは本意ではないでしょう。
資料の取得・過失の主張などは専門家である弁護士に委任して賠償交渉は任せましょう。
弁護士に委任することによって、あなたの心の代弁者として法的に相当な賠償を加害者にさせることが可能になってきます。

死亡事故の場合、賠償請求で区切りをつけることが、特にご遺族の方にとっては気持ちの整理という面で大切です。
加害者に対する許せない気持ちは一生をかけても拭えるものではありません。もっとも、どこかで一つの区切りをつけなければなりません。死亡事故にも時効の問題があります。多くの方は加害者の刑事裁判が終わった後、民事で賠償請求を行っています。