【車両損害】物損事故の解決の流れと抑えておきたいポイント

物損は損害の確定がはやい

交通事故では、必ずと言ってよいほど車両の損傷が発生します。人損では治療期間が必要であるため、示談まで時間をかけますが、物損では比較的短期間に損害が確定するため、早い段階で対応が必要となります。

ー 目次 ー

物損の解決の流れ

(1)事故発生後の対応

事故発生後、車両を修理工場に入庫させることになります。
これはディーラーでも街中の修理工場でも問題ありません。
入庫させると通常は、相手方の保険会社の担当者が損害調査を行います。例外的にご自身の自動車保険に車両保険が付保されている場合、自社の保険会社の担当者が調査を行うことになります。
この調査は、車両の損傷を確認し、事故との整合性があるかを確認するためのものです。一般的には公平の見地から、交渉担当ではない「アジャスター」と呼ばれる調査員が損害調査を行い、損害確認レポートを作成します。
事故との整合性が問題ない場合、修理をするか、買替を行うか、それともどちらもせずに乗り続けるかを検討することになります。
注意が必要なのは、修理費用又は時価額のいずれ低い額が賠償の限度となります。つまり、修理費用が過大で事故時の車両の価値を超える場合は、あくまで車両の時価額までしか賠償されないということです。
また、買替を実際に行ったとしても、買替に要した金額すべてが払われるわけではなく、あくまで修理費用又は時価額のいずれか低い方が限度となります。
時価額は一般的にレッドブックと呼ばれるオートガイド社が発行する自動車価格一覧を参考にすることが多いです。
これに載っていない古い車両などは、新車価格の10%程度で形式的に算定することもあります。

修理をする場合は、修理工場に修理を進めるように依頼します。
並行して保険会社の担当者が相当な修理価格を工場側と話し合って決める「協定」という作業を経ることになります。

修理額または車両時価額いずれか低い額が賠償可能額になります。

修理費か時価額のいずれか低い額が賠償限度となります。

(2)代車の問題

修理または買替期間に代車を借りることがほとんどですが、後で代車費用が争いになることがあります。
工場代車などは無償で貸し出してくれることが多いため、問題となることが少ないですが、レンタカーを使用している場合、長期間借り続けていると後で保険会社が支払いを拒否することがあります。
そうするとレンタカー会社に対して、レンタル料の支払いが自腹となります。
目安としては事故から2~3週間を超えて使用し続けると、リスクが高まりますのでご注意ください。

物損の示談の方法

(1)物損の示談のチェックポイント

車両の修理が完了または修理せずに買替することが決まった場合、物損の示談へと進むことになります。
一般的に物損では、車両損害(修理費又は時価額)、代車費用、レッカー費用などが賠償の対象となります。
なお、物損のみの事故では「慰謝料」は請求できません。慰謝料については人損がある場合に請求ができます。
物損の示談をする場合、保険会社から免責証書や示談書が送付されてきますが、以下の点をチェックしましょう。

・修理額又は時価額が妥当か(特に古い車両の場合、適切に時価額が算定されていない可能性があります。)
・代車費用が全額支払われているか
・レッカー費用が抜け落ちていないか
・過失割合が納得いくものか(物損の示談が先行する場合、物損で決めた過失割合が人損でも影響してくることがあります。)

(2)対物保険を使用するか検討しよう

過失が発生する場合、相手方の車両の損害について支払義務が生じるため、自分が加入している自動車保険の対物保険を使用するかを検討することになります。
お互い物損のみの事故で、損害も軽微な場合、対物保険を使用することによる保険料の値上がりのほうが金額として大きくなることがあります。
そのような場合、双方の損害を相殺して残金を受領又は支払するなどしたほうが、長い目では得になることがあります。
このあたりはご自身が加入している自動車保険会社に保険を使用した場合の値上がり保険料の金額を確認しましょう。

物損の示談が出来ない場合の対応方法

(1)裁判所に提訴する

物損の示談交渉が平行線をたどった時は、最終的には裁判所に提訴して判断を仰ぐ方法があります。
請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所、超える場合は地方裁判所に提訴することになります。
訴訟から判決までに要する期間は1審だと半年から1年程度です。
訴訟提起を行う場合、郵券と印紙が必要となります。

(2)紛争処理機関を利用する

裁判所以外の紛争処理機関として、交通事故紛争処理センター・日弁連交通事故相談センターなどがあります。
前者は公益財団法人が運営し、弁護士が和解あっせんを行います。
後者は日弁連が運営する紛争処理機関で、こちらも弁護士が和解あっせんを行います。
ただし、前者は相手方が示談あっせんの参加を拒否した場合や、後者でも保険会社等から訴訟による解決の要請が出された場合などは、和解ができないことがあります。
また、関与する弁護士は中立の立場になるため、必ずしも自分に有利な内容になるとは限りません。

(3)専門家に相談する

自分がとるべき手段はいずれの方法なのか、専門家である弁護士に相談をあおぐ方法があります。
専門家である弁護士は、あなたにとって必要な証拠、主張すべき損害などの有利なアドバイスを行い、委任を受ければ訴訟もふまえた解決策をとることができます。

新車または購入して間もない車が被害にあった場合、「評価損」といって事故車として価値が落ちることに対する補償を請求できる可能性があります。このあたりは専門家への相談をおすすめします。


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