イメージがつきやすくなる!個人再生Q&A


個人再生ってイマイチイメージがつきにくい手続ですよね。個人再生は、裁判所を通じて債務を減額した計画案を認可してもらう手続です。減額できる限度や返済計画にも一定の要件があります。Q&Aごとに整理しましたので、ご参考ください。

個人再生でどれくらい借金が減額されるのでしょうか。

個人再生で債務が減額される額としては、債務の総額と保有資産との関係で決まります。
以下が対象となる債務(再生債権)の総額に対する減額の目安(最低弁済額)になりますが、保有資産が同額を上回る場合は、その額が減額される限度になります。なお、住宅ローン債権は除きます。
再生債権額 100万円未満               同額
      100万円以上500万円以下        最大100万円まで
      500万円を超え1500万円未満      最大5分の1まで
      1500万円以上3000万円以下      最大300万円まで
      3000万円を超え5000万円以下     最大10分の1まで
たとえば、借金の総額が600万円の方の場合、5分の1である120万円まで最大で借金を圧縮することが可能になります。ただし、住宅を維持する場合の住宅資金特別条項制度を使う場合は、住宅ローンについては減額されないので注意が必要です。

個人再生をすると、車を手放さないといけないのでしょうか。

個人再生を申立てをしても、必ず車を手放さないといけないわけではありません。
価値のない古い中古車などを使用している場合、清算価値を考慮してもそのまま使用し続けられることがほとんどでしょう。
生活に不要な複数の車両などを有している場合、裁判所から生活再建のために手放すように求められることはあります。
また、自動車ローンが残っており、所有権が販売会社に留保されているケースでは返還せざるを得ません。
自動車検査証の所有者の欄が、販売会社になっている場合、所有権が留保されている可能性が高いです。

個人再生を利用すると毎月いくらくらい返済していくことになりますか。

たとえば、借金総額が700万円の方のケース(ただし、住宅ローン除く)では、5分の1である140万円に債務が圧縮されるので、これを3年間で払っていくことになります。
つまり、140万円を36か月(3年)で支払いを続けていくことになるので、毎月約3万9000円を支払うことになります。
支払が難しい場合は、5年の分割返済にすることができる可能性があります。また、住宅ローンの毎月の返済額については変わりません。

破産と個人再生、どちらをとるほうがいいでしょうか、

個人再生には継続的に又は反復して収入があることが前提となります。
そのため、病気で働けず安定した収入がない方は、破産を選択することになります。
また、ギャンブル等によって増大した借り入れについては、破産では免責不許可事由になります。
そのため、個人再生手続を選択していくことになるでしょう。
また、住宅を手放したくないという方は、個人再生手続を取る方向で検討した方が良いことになります。

履行テストというのはなんでしょうか。

個人再生申立後、個人再生委員が就任します(例外もあります)。
再生計画で予定している弁済額が本当に支払えるのかテストするものです。
毎月、一定額を委員の指定する口座に支払うことになります。
履行テスト終了後、再生員の報酬を除いた残額は返還されます。

小規模個人再生と給与所得者等再生とはなんでしょうか。

個人である債務者のうち,将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり,再生債権額が5000万円を超えないものが利用することができます。
他方で、給与所得者等再生とは、サラリーマン等の将来的に確実な安定した収入がある方が利用できる再生手続になります。
給与所得者再生の場合、計画弁済総額が、可処分所得の2年分以上の要件が加算されるため、小規模個人再生より弁済総額が高くなる可能性があります。
他方でメリットとしては、再生債権者の同意が不要になるため、計画案が認可されやすいという点があります。
小規模個人再生では、一定以上の債権者の同意が必要であるため、不同意にされてしまうと計画案が認可されません。
最近では、理由もつけずに不同意にする債権者も出てきていますので、債権者や債権額に応じて、どちらの手続をとるか検討する必要があります。

個人再生は計画案の策定のため、返済方法をご相談の上、進めていくことになります。
無理のない返済範囲はどの程度かといったことをよく打ち合わせながら、計画案を作っていきましょう。