離婚をする場合の流れと決めなければならないこと

Aさん

最近は夫婦関係が喧嘩ばかりで、ストレスで限界です。
でも、一人で生活していけるか不安で、離婚に踏み出せないです。

前向きな人生のために離婚の選択も。

現在の日本では、夫婦の3組に1組が離婚するとも言われています。家と家の結びつきであった結婚が、個人同士の結びつきに変わり、ライフスタイルとともに個人の価値観も多様化してきた時代背景が影響しているのかもしれません。
法律事務所での離婚相談も、近年、大きく増加しています。離婚自体は、決して珍しいことではなくなってきています。
離婚問題で悩んでいるのは、あなただけではありません。3組に1組が離婚するわけですから、その背後には潜在的に夫婦間トラブルを抱えた夫婦がたくさんいるはずです。

もちろん、離婚後の生活について不安がない方はいません。苦労がないわけではありません。
ただ、それ以上に、現在の状況を続けて、あたなの未来のあらゆる可能性を失っていくほうが怖くないでしょうか。 夫婦関係に耐えがたい不満を持ちながら、自分の人生を何十年も過ごすよりも、きれいに清算して前向きに新しい人生を歩む方が素敵な人生でしょう。自分らしく生きていく、それが大切なのではないかと思います。
あなたの少しの勇気が、あなたの未来を大きく変えていくのです。 

どうすれば離婚できるの?

離婚をすること自体は難しいものではありません。離婚届に当事者が署名と判を押して役所に提出すれば、それで離婚は成立します。もっとも、夫婦で築いた財産や子供の問題など、現実的な問題が山積みです。あとから面倒なことにならないように、離婚に際してきっちりと決めておかなければならないことがあります
離婚するに当たり解決しなければならないことは次のようなものがあります。
①離婚という結論についての相手の同意
②子供がいる場合は、親権と監護者、養育費の額と支払方法、子供との面会方法
③夫婦共同で築いた財産のリストアップとその分割方法、住宅ローンの処理、年金分割
④離婚後の氏の変更 

決めなければならないことがたくさん

離婚をする場合の手続チャート

以下のチャート図では一般的な離婚の流れが書かれていますが、実際の離婚の話し合いではもっと複雑なケースもあります。
条件の話し合いは避けられませんが、話し合いで切り出すタイミングの問題もあります。
また、あえてこちらから離婚の話を持ち出さない方がよいケースもあります。まずはご自身の状況を整理して、専門家と相談しながらどうすべきか考えていきましょう。

①離婚の合意の有無
離婚に相手が同意している場合は、協議離婚を目指して条件を検討することになります。相手方が同意しそうにない場合には、別居して冷却期間を置くとともに、裁判所に離婚調停を申し立てを行います。

②子供に関する条件の検討(親権と養育費等)
子供がいる場合には、まず、親権者(+監護権者)を決めなければなりません。争いがない場合は、離婚届に親権者を記載して提出すれば足ります。争いがある場合には、離婚調停を裁判所に申し立てなければなりません。また、相手が子供を強奪しているような状態では、直ちに保全処分といわれる法的措置をとる必要があります。
その他、養育費の金額、始期と終期、子供との面会交流条件などについても、取り決めしたほうがよいでしょう。養育費については離婚後に調停も可能です。

③財産分与の検討
婚姻時から別居時までに築いた預金、不動産等を夫婦でどのように分けるか検討します。所有名義にかかわらず、財産をリストアップし、これを2分の1で分けるのが原則となります。住宅ローンの負担や持分をどのように分けるかについても検討対象となります。

④離婚協議書の作成
離婚の条件がまとまったら、後から争いが生じないように合意書を作成しておく必要があります。
裁判所の調停や審判等の手続を介さずに、当事者の協議によって離婚する場合は、離婚協議書を作成することになります。離婚協議書では、養育費の額、財産分与、子供との面接交渉等について定めます。公証役場での作成も方法です。

⑤離婚届の提出
協議によって離婚する場合には、市区町村の役場に行き、離婚届を提出します。
裁判によって離婚する場合は、判決確定後、判決謄本と確定証明書を市区町村役場に提出します。

⑥離婚後の処理
離婚の際に称していた氏については、離婚により当然に元の氏に戻ります。
そのまま氏を称したい場合には、離婚から3か月以内に婚氏を続称する届出を行わなければなりません。
子供については両親の離婚後も離婚前の戸籍に残るため、そのままでは氏は変わりません。氏を変えるためには、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申立てを行い、許可がおりたらさらに入籍の届出を行わなければなりません。 

離婚を望んでも、相手がかたくなに拒んでいる場合、最終的に離婚できるかどうかは裁判によることになります。そのため、裁判による離婚が難しい場合には、相手方の合意が必須の条件となるため、離婚に向けた戦略を変えていく必要があります。
たとえば、相手方が強く離婚を拒否している場合は、財産分与や養育費で有利な条件を提供しながら、粘り強く調停等を行い、合意を取り付ける必要があります。また、離婚自体は同意しているケースの場合は、不利な条件で財産分与しないように、弁護士が裏からサポートする形で話し合いを進めていく必要があります。